矢作川研究所日記

2017/08/22

鹿乗川を調査しました


 
 安城南高校の科学部の生徒さん達と鹿乗川の調査を行いました。鹿乗川は岡崎市の水田地帯を水源とし、高校の近くを流れて矢作川に合流する川です。科学部では以前から水質調査などを行っていましたが、今回、鹿乗川の自然環境を地域の小学生に知ってもらうための教材づくりの一環として、川の生きものを調べました。

 鹿乗川は普段から少し濁りがあり、水質もあまり良くありませんが、みんな臆することなく川に入っていきました。調査は一定の面積にどれだけの生き物がいるかを調べる定量調査をはじめ、タモ網やカゴ網を使用して魚類や水生昆虫を採集しました。魚類ではタモロコ、ギギ、カマツカ、水生昆虫ではたくさんのコガタシマトビケラ属のトビケラが捕れました。ただ、カダヤシやカワリヌマエビ属、サンカクアタマウズムシ科の外来種も多く確認されました。

 現場で採集した生物は学校に持ち帰り、顕微鏡やルーペなどを使って種類を分けました。生徒さんたちは一緒に捕れてしまった水草や砂の中から小さな虫を探し出したり、資料や図鑑を見ながら種類を特定したりと、根気良く作業を続けていました。



2017/08/16

投入した礫の上で多数のアユを確認(ソジバ再生実験:阿摺ダム下流)



4月下旬に実験を開始して以降、現地でアユの生息状況を調査しています。新しく礫を敷いた場所(330m2)で確認されるアユの数は7月以降に増加し、8月上旬には周囲よりも8倍ほど多くのアユ(約150尾)が出現し、盛んに付着藻類を食んでいました。しかし、なわばりを持ったアユはここでも1尾も確認されず、アユの大きさ(全長)も12~16cmと小型のアユが主体でした。今後、アユが成長するにつれ、なわばりを形成するかどうかに注目しています。



2017/08/06

西大排水路の水生生物観察会


永覚子ども会と永覚みどりの会共催の西大排水路の水生生物観察会は、今年で11回目となりました。浜﨑健児と内田朝子が講師として参加しました。子ども会の皆さんは、観察会をとても楽しみにしており、今年の参加者は72名でした。普段見慣れている川ですが、みんなでガサゴソをすると、メダカやモツゴのほか、捕獲数は少ないもののフナやヤゴなど里山の小川に定番の水生生物が確認できました。この日は、渇水で農業用水40%節水という条件下でしたが、地元のお宝であるトウカイコガタスジシマドジョウにも出会うことができました。(内田朝子)



2017/07/29

西広瀬小学校「矢作川水質汚濁調査1万5千日達成記念式典」に参列しました

西広瀬小学校の目の前を流れる矢作川とその支流飯野川は、かつて子どもが遊ぶ川でした。しかし、1960年代から1970年代にかけて粘土の採掘や山砂利の採取の際の排水や工事排水などによって濁った川になり、子どもの川遊びが禁じられました。そこで、遊べる川を取り戻そうと、西広瀬小学校では1976年から水質汚濁調査を始め、以後41年にわたって子どもたちと教師が地域住民とともにその調査を継続してきました。
これは貴重な記録であり、研究所でも所報『矢作川研究No.15』(2011)で内田朝子・白金晶子が記録をデータ化しています。
式典では、子ども達が水質汚濁調査の方法を実演し、矢作川の透視度を報告してくれました。



また、豊かな森林なくして美しい川もないと、川だけでなく学校周辺の自然環境にも目を向けて2012年度より始まった「丸根山ビオトープ」整備の取り組みの様子も発表されました。
作曲家・ピアニストの小林真人さんのコンサートも行われ、最後に6年生が作詞、小林さんが作曲をした1万5千日達成記念の合唱曲「守り人の歌―命かがやく」が披露されました。




2017/07/27

矢作川研究所セミナーを開催しました(講師:菅 豊氏)


豊田市矢作川研究所セミナー「ガバナンス時代の河川管理―その可能性と課題―」
東京大学東洋文化研究所 菅 豊氏(7月27日)

ご講演では、現在、政府や自治体主導の一方通行の統治から、
多様なアクターが水平的に関わる協働的統治
(協治、collaborative governance)」へと時代が進んでいること、
しかしそれは必ずしもよいことばかりではなく、価値を単純化せざるを得ないこと、
また、市民を巻き込んだ「民意」を「作り上げられる」懸念があることなどを
事例を挙げて詳しく指摘されました。

その上で、「協働的統治のなすべきこと」として以下が挙げられました。
・異論や反論も出し合える”せめぎあい”の場を創ること
・協働で問題を発見すること、
・協働で問題について双方向型の学習(調査研究)をしていくこと
・協働で順応的に対応していくこと

最後に菅氏は当研究所に対し、豊田市の機関である特性を生かして
上記の「協働的統治」と、その順応的な管理を進めていく
ファシリテーター(促進者)となることを期待する、と
エールを送ってくださいました。

市民との共働事業を進める研究所として
非常に学びの多いセミナーでした。