矢作川研究所日記

2017/12/25

アユの流下仔魚調査を行っています

秋から冬のこの季節は、川の下流で産み付けられたアユの卵がかえり、6mm程の大きさの仔魚(成魚と同じ体形になる前の赤ちゃんのこと)が海へと流れ下る時期です。過去の調査から推定される矢作川のアユ仔魚の数は数億尾。しかしながら、矢作川では他の河川と比べて、遡上するアユの量に対して流れ下る仔魚の量が少ない可能性があり、アユの繁殖に関して何かしらの課題があるようです。今年度は仔魚期の課題を明らかにするための流下仔魚の採集調査を行っています。



2017/10/25

百々水辺愛護会・初音川ビオトープ愛護会とともにニホンミツバチの採蜜会を行いました

平成29年10月7日、10日

豊田市矢作川研究所は、水辺愛護会が行っている活動の活性化(「楽しみ」の創出)に向けた取り組みの一つとして、ニホンミツバチの養蜂を検討しています。愛護会が行う草刈りの方法を変えて花をつける植物を増やし、ミツバチが蜜を集めやすい環境づくりを進めながら、みんなでハチミツを味わうことで、愛護会活動の活性化に繋げていきたいと考えています。今年は、百々水辺愛護会および初音川ビオトープ愛護会とともに、ニホンミツバチの養蜂にチャレンジしました。6月に巣箱を設置して以降、巣は順調に大きくなったことから、中部日本みつばちの会にご協力いただき、採蜜会を行いました。

百々水辺愛護会の採蜜会は10月7日(土曜日)に百々貯木場跡で行いました。会には愛護会会員だけでなく、平井小学校地域学校共働本部の「土曜学習」としてお申込みいただいた親子4家族にもお越しいただきました。ニホンミツバチの生態や農作物の受粉に果たす役割、巣箱の構造などについて説明したあと、メッシュを貼ったテントの中に巣箱を入れて採蜜作業を行い、テントの外からその様子を見学していただきました。




巣を切り分けて行った試食では、大人だけでなく子ども達からも「こんなにおいしいなんて!」「市販のものとは全然違う」「味が濃いですね」「いい匂いがする」など、うれしい感想をいただくことができました。愛護会会員からは養蜂に関する様々な質問や意見が飛び交い、次年度の養蜂に向けた意気込みが感じられました。




初音川ビオトープ愛護会の採蜜会は10月10日(火曜日)に初音川ビオトープで行い、愛護会会員の方々にお集まりいただきました。




縦25cm×横25cm×高さ15cmの巣枠いっぱいにハチミツを蓄えた巣が切り出されると、巣枠1つで採れるハチミツの量や採蜜する際のポイント、さらには、巣箱の構造や管理方法などについて質問が出され、養蜂に直接関わっていなかった会員の方々にも、ニホンミツバチの養蜂に興味を持っていただくことができました。





研究所は、愛護会の活動場所での草刈り方法の違いとニホンミツバチの訪花状況との関係を調査する計画を進めており、初音川ビオトープでは草刈り方法を変えるとどの程度花の咲き具合が変わるのか予備的な実験を行っています(詳細は下記URLの研究所日記をご覧ください)。花の咲く川辺となるように草刈りの方法を見直しながら、毎年おいしいハチミツが採れるよう、愛護会とともにチャレンジしていきたいと考えています。


研究所日記「初音川ビオトープで植物と昆虫の調査を始めます」
https://www.yahagigawa.jp/diary/entry-614.html



2017/10/04

岩本川創遊会が「魚の移動しやすい」川づくりに再挑戦!


 9月23日(土)岩本川創遊会の活動で川づくりを行いました。
 昨年7月の川づくり体験会で、魚が移動しやすいように、階段状にプールをつくって落差の解消を図りました。しかし、その後の台風や今年のゲリラ豪雨による増水でいくつかのプールが破損し、上流側のひとつだけになってしまいました。そこで今回、再度プロの指導のもと、川づくり技術の習得、プールの補修を行いました。



 いつもの草刈りを小一時間で終え、川づくりを開始。石組みの技術について、技術者から水の流れに石を置きながら説明を受けます。石の置き方はもちろんですが、「川の中に石を組むことは、自然の力に逆らうこと」「だけど、そういうことをしないといけない川になってしまっている」という、川づくり技術の本質的なお話しが印象的でした。


 自然の川は常に変化しているものですし、「壊れたら直せばいい」のが住民が出来る小さな自然再生の持ち味ですが、魚のためにも、自分たちのためにも、壊れてほしくないのが正直な気持ち。重要な大きな石を配置したあと、その間をアーチ状に埋めていきます。最後に、大きな石の隙間に上流側から、小石や砂利などを詰めて、プールに水が溜まり、水が段々に流れていくようにしました。


大きな石の置き場を少し掘る


大きな石を置いて、その間に中くらいの石をアーチ状に詰める


石と石の隙間に上流側から砂利を詰める


 うまくできたかどうかは、何回か雨が降るなどして、時間が経ってみないと分かりませんが、終了直後にさっそくカワムツの稚魚がプールを行き来する様子が見られました(残念ながら写真撮れず!)。これからの岩本川も要チェックです。
 引き続き、「ふるさとの川づくり事業」のモデルとして、岩本川創遊会の活動を記録したり、支援したりすることで、他河川への展開につなげていきたいと思います。



2017/08/30

「矢作川探訪マップ」リニューアルのため川辺を歩きました

研究所では、矢作川の川辺の魅力を伝え、市民のみなさんを川へ誘う「矢作川探訪マップ」のリニューアル版を作成中です。
この日は現地確認のため、インターン生お二人とともに、歩いて楽しい川辺を探して矢作川の中流部へ。




左岸側では千石公園や御立公園、野見山展望台など、右岸側では明治用水頭首工、長興寺、竜宮社などを巡りました。暑い、晴れた一日で、川に入って遊ぶ人々の姿も見受けられました。マップは来年春、発行の予定です。





2017/08/29

大洞市有林に植物調査枠を設置しました

矢作川流域はおよそ7割の面積を森林が占めており、森林面積の約半分が人工林です。しかし2015・2016年に豊田市が実施した航空写真分析の結果から、豊田の人工林の約7割が緊急的な間伐が必要と判断されており、暗い林内で植物が減ることで、森の土が水を蓄える「緑のダム機能」が下がったり、土砂崩れの危険性が高まっていることが懸念されています。

豊田市森林課は水道水源保全事業の一環として、人工林の間伐が川の流量と水質に及ぼす効果を検証する調査を始めました。隣り合う2つの小さな流域がある場所で、片方の流域を「間伐を行う処理流域」、もう片方の流域を「間伐を行わない対照流域」として設定し、処理流域の全体を間伐し、間伐による流水や流出する土砂の量、水質の変化を調べる調査です。

この調査では、水や土砂の観測を東京大学生態水文学研究所が行い、植栽木や林内の明るさ・植物の変化は矢作川研究所が調べます。タッグを組んで、人工林の間伐が川の流量に及ぼす影響を調べようという取組です。

この日は小原地区の大洞市有林内の実験区に、洲崎、白金の両研究員と、インターンシップで来所した名工大、豊田高専の学生さんたちとで、植物調査枠を設置しに行きました。およそ20m四方の枠を4ヶ所に設置したのですが、場所によっては急勾配で足場が悪かったり、見通しがきかなかったりと、大変骨が折れる作業で、終わる頃には全員汗だく、疲労困憊でした。設置を終えて、谷まで転がり落ちたピンを回収して帰りました。そして研究所に戻ってから、丸1日山の中にいたのに、1枚も写真を取る余裕がなかったことに気付きました。
これから植栽木の調査を始めていきます。ゆっくり流れる森の時間の中で、その変化を確実にとらえていきたいと思っています。


樹冠が雨を遮る量や、木の幹を伝い落ちる雨を測っています。