矢作川研究所日記

2019/06/09

初音川ビオトープ 植物観察会が行われました

毎年恒例となっている初音川ビオトープでの植物観察会。
初音川ビオトープ愛護会からお招きを受けて、今年も研究員が講師を務めました。

この観察会は、愛護会がビオトープの管理を行うに当たり、
取り除くべき植物と、残すべき植物を確認しようと実施されています。
取り除くべき植物については、今回、これまで除去の対象としてきたネズミムギ、セイタカアワダチソウ、シナダレスズメガヤ、アレチヌスビトハギに加えて、今年になって多く見られるようになったコヌカグサを加えました。

小雨降る中、20数人の参加者と共に、取り除くべき植物を確認し、
時に引き抜きながら、ビオトープを巡りました。
熱心な参加者からは「在来種のヤマハギと外来種の
アレチヌスビトハギの葉が似ていて見分けにくい」という声が上がり、
前者は小葉が丸く、後者は角張っていることを伝え、
みなさんに確認してもらいました。

観察会で得た知識を今後の活動に活かしていただき、
ビオトープがますます地域の人々に愛される場になることを願っています。





2019/05/29

アユの遡上状況は

写真のように稚アユは川岸に沿って列をなして遡上します。



今年は5月28日までに明治用水頭首工の左岸魚道を通過した稚アユの数は43万尾と、昨年の同じ時期(223万尾)の19%に過ぎません。過去の稚アユ遡上数のデータを参照すると、5月には河川流量が多いほど遡上数が多くなる傾向がみられ、5月まで渇水ぎみであったことが少ない遡上数の一因となった可能性があります。稚アユの遡上は6月も続きますので、今後の挽回に期待しています(巴川、穂積町にて撮影)。



2019/04/24

今年もアユが川にやってきています!

 春といえば、花見やホトケドジョウの産卵期を思い浮かべますが、アユが川を遡上する季節でもあります。


 昨年の秋~冬にふ化したアユは冬の間を海で過ごし、春頃に川を遡上してきます。今年は比較的雨が少なく、矢作川の水量も少なかったため遡上への影響が心配されていましたが、海から遡上してくる天然アユは豊田市内に到達しはじめているようです。(山本大輔)
 
注)この写真は遡上したアユではなく放流されたアユです



2019/03/06

ふるさとの川づくり 小学生が岩本川で流し雛

地元住民との共働で「ふるさとの川づくり」を進めている岩本川で、平井小学校2年生と1年生が「流し雛」を行いました。この日の流し雛は、子どもたちが自作した舟に、地域ボランティアの方々に指導を受けて作った雛人形を載せて流し、健康や成長、地域の安全や豊作を祈るというものです。地元の川づくり団体「岩本川創遊会」と矢作川研究所がサポートしました。
 2年生は、2月に行った「川の流れ」の学習の際にお雛様を載せる舟を試作し、流し雛のリハーサルを行っています。舟はその時の経験を活かした改良版です。



冬の川は残念ながら水量が少なく、舟はスムーズには流れません。また、川づくりが進む岩本川の流れは多様であることから、舟が逆走したり、草や石にひっかかって止まってしまうこともありました。それでも子どもたちはとても楽しそうに笑顔で舟を追いかけ、無事ゴールをした後は満足そうでした。


年間を通して2年生は4回、1年生は2回、川の体験学習を重ねてきました。
子どもたちは、「川の生き物」「生き物とすみか」「川の流れ」「川に願いを託す伝統文化」など、多くを学んできたことと思います。
授業前の2年生の挨拶にあった「岩本川は平井小学校の宝です」という言葉、授業後の岩本川に向かって全員で伝えたお礼の言葉を聞いて、岩本川が子どもたちの心に刻まれつつあることを感じました。




2019/03/02

第15回矢作川学校ミニシンポジウムを開催しました

今年は早くも梅花も満開、柔らかい日差しの中で14題の発表がありました。学校近くの矢作川で行った研究を発表した高校生は、もっと若い世代も矢作川に目を向けようと呼びかけてくれました。地元企業と協働で研究した高校生は、自然だけでなく社会との繋がりも感じてくれたようです。
自らハンターの資格を取ったという大学生の発表では、野生生物と人との関わり方について具体的な対策を示してくれていました。先輩から脈々と受け継いだ矢作川の特定外来生物カワヒバリガイ調査では、15年間という長期変化を示してくれました。このカワヒバリガイに関しては、寄生虫を初確認したという発表もありました。自然への興味関心の強さは新発見を生み出しますね!





参加者アンケートでは、「矢作川についてより深く知ることができたので良かったです(16歳)」「学校ごとに多種多様の研究に取り組んでいて、とても面白かった(21歳)」「継続は“力”です。毎年楽しみにしています(75歳)」などの回答をいただきました。
自分とは異なる専門分野の発表を聞くことで自身の研究を新しい視点で見ることができると思います。矢作川学校ミニシンポジウムは、異分野の研究のパーツを詰め込んだお楽しみ袋のようでもあります。全ての発表を聞き終えた時には、全員で山頂に辿り着いたような爽快感がありました。
今後、ミニシンポジウムの存在をもっとアピールし、より多くの学校、学生間のネットワークが広がるようにしていきたいと思います。(内あ・吉)